日本という国
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008米国べいこくとの間では、戦後、米国の施し政せい下かにあり、1972年(昭和47年)5月に米国から返還された沖おき縄なわ県けんの米軍基地問題が大きくのしかかっている。米国が進展を急いでいる米軍普ふ天てん間ま飛ひ行こう場じょう(沖縄県宜ぎ野の湾わん市し)の移設問題や、在日米軍基地が集中する沖縄の負担軽減、在日米軍の再編と、不平等が指摘されている「日米地位協定」の見直しが課題となっている。 ※「集団的自衛権」の行こう使し容よう認にん 「集団的自衛権」とは、自じ国こくが攻撃された時に反撃できる「個別的自衛権」に対し、「日本と密接な関係にある他国(同盟国)への攻撃を日本が攻撃を受けたとみなして反撃する権利」をいう。 2012年暮に発足した安倍内閣は、日米同盟強化の観点から、「公海上での米べい艦かん隊たいへの攻撃への応戦」などについて、自衛隊の「集団的自衛権」行使を容認する方針を打ち出した。歴代政権が認めてこなかった「集団的自衛権」の行使を、「憲法9条」の解釈変更によって可能にした。 そして、「集団的自衛権」を行使できる「安全保障関連法」が2015年9月19日に成立した。「安全保障関連法」(安あん保ぽ法ほう)は、「集団的自衛権」の行使要件を明記して法制化した「改正武力攻撃事態法」、米軍や他国軍を地球規模で支援できる「重要影響事態法」、在ざい外がい邦ほう人じんの救出や米艦防護を可能にする「改正自衛隊法」など10の法律を一括した「平和安全法制整備法」と、自衛隊の後こう方ほう支援について定めた恒こう久きゅう法ほう「国際平和支援法」からなっている。 「日本の平和と安全」については、「改正武力攻撃事態法」に「集団的自衛権」の行使要件として「存そん立りつ危き機き事じ態たい」を新設した。日本が直接、武力攻撃を受けていなくても、「日本と密接な関係にある他国が武力攻撃されて日本の存立が脅おびやかされる明白な危険がある事態で、他に適当な手段がない場合」に限り、自衛隊は武力行使できる、というもの。 「安全保障関連法」について、民主党(当時。現在、民進党)など野党は「戦後、憲法の平和主義のもとで守ってきた自国防衛の考え方が大きく変わった」などとして、同法は憲法違反だと強く批判・反対した。しかし、自民党、公明党などが賛成多数で可決、成立した。 「集団的自衛権」の行使を可能にした「安全保障関連法」の成立は、戦後日本の「安全保障政策」の歴史的転換となった。 安倍首相は「平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制で、戦争を未然に防ぐためのものだ」と強調している。ただ、「自衛隊の『専せん守しゅ防ぼう衛えい』」」から一歩踏み出すことになり、国民の間には、「集団的自衛権」の行使が可能になったことによって、日本が米国の戦略に組み込まれ、国際紛争に巻き込まれる可能性が高まるのではないか、という危惧きぐが少なくない。

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