日本という国
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125世界各国の人々にも愛され、国際的な広がりもある。流派に関係なく華道を愛好する外国人や日本人による一般社団法人「いけばなインターナショナル」がある。2015年時点で、54の国と地域に160の支部があり、会員は約8千人。5年に一回、日本国内で世界大会があり、2017年に「第十一回・世界大会」が沖縄県で開かれる。 【歴史・タイプ・芸術性】 「花を生ける」ことに約束事が成立したのは室町時代(1338年~1573年)。 「華道」を理論付けしたのは池いけの坊ぼう専せん応おうだ。 「花を挿さすことは昔からあったが、自然の美しさを身近に置いて楽しむことの大切さ」を力説した。 当時の「華道」は、何かの集まりや人を招いた時の正式な「立たて花はな」と、日常生活の中で楽しむ自由な「投なげ入いれ」の二つのタイプがあった。 そして、室町時代から江戸時代に、花瓶に挿して形を整える「立りっ花か」と、茶席での「「茶ちゃ花ばな」」に変わった。 さらに、「立花」から「生せい花か」と「投入れ」へ受け継がれた。 「華道」は、花を配する形が重要になる。 「立花」や「生花」の形は、成立した当時の日本人の自然観に基づいている。 形にこだわらない「投入れ」は、花を生ける人の個性で花の持つ美しさを表現する。 「華道」はさまざまな要素で構成されている。 例えば、花の色彩、明暗、大小、軽けい重ちょう、寒かん暖だん、清せい濁だく、さらに、葉、枝、茎などの違いにより、異なった美しさが表現される。 花器かきの形、材質、色合いなども作品に大きな影響を与える。 陶磁器、金属、木、竹など花器の材質と、それぞれの形や色によって、千変万化のバリエーションを楽しむ。 「華道」で最も大切なことは美を追求する気持ちだ。 美を求める精神と技術が結びついて初めて、生けた草花や木が芸術作品として完成する。 【理念と技法】 花を生ける時の基本的理念は、「天」、「地」、「人」だ。 「華道」が生まれた当時、人々は「宇宙は天と地と万物で構成されている」と考えた。 宇宙は最初、混沌としていたが、やがて二分され、軽いものが上方に昇って「天」となり、重いものが下降して「地」となり、二つをつないで調和させているものを「万物」と考えた。「人」は「万ばん物ぶつの霊れい長ちょう」として森羅万象の代表とされた。 三つの基本理念は、「華道」の造形として次のように表現されている。 「天」=上段に高く伸び、主導的な役割を果たしている枝。 「地」=下段に低い状態で補っている枝。 「人」=この二つの間の中段で「天」と「地」の調和を保っている部分。

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