日本という国
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130「茶の湯とは ただ湯をわかし 茶をたてて 呑のむばかりなる事としるべし」 という「千利休」の和歌が「茶道」の真髄を示している。 「千利休」は、「織お田だ信のぶ長なが」に仕え、「豊臣秀吉」には「天下一の茶人」としての待遇を受けた。しかし、「秀吉」の怒りに触れて切腹せっぷくを命じられ、自害した。「秀吉」の怒りの原因については定説がない。「千利休」の孫である千せんの宗そう旦たんの子供3人が分かれて独自の「表おもて千せん家け」、「裏うら千家」、「武む者しゃの小こう路じ千家」の流派を創設した。 この三つの流派が、千利休の系統を守っている。 中国から伝わった「お茶」は、日本で独自の発展を遂げ、日本の風土や日本人の心情に合った「」茶道に発展した。 「茶道」の形は変化したが、千利休没後420年以上が経過しても、「わび」「さび」の精神は受け継がれている。 ※ 抹茶まっちゃ 茶の若葉を、「洗ってから蒸した後、乾燥して臼うすでひいて粉末にする」と、鮮やかな緑色の「抹茶」が出来上がる。 「蒸した」茶葉を乾燥しながら手で揉んだのが「緑りょく茶ちゃ」だ。緑茶には、香りが高くて甘みのある最高級の玉ぎょく露ろのほか、煎茶せんちゃ、番ばん茶がある。 茶葉の製造過程の違いで、抹茶、緑茶・煎茶(発酵はっこうさせない)、ウーロン茶(半発酵)、紅茶こうちゃ(発酵)となる。 ※ お点て前まえ 「茶道」では、主人(亭主ていしゅ)がお客にお茶をご馳走することを「点たてる」という。 茶室の畳の上で作法に従って茶を点てる一連の所しょ作さを「お点前」と呼ぶ。お点前を基調とする「茶道」の芸術性について、哲学者・谷川徹三たにがわてつぞうは『茶の美学』の中で「身体の所しょ作さを媒介とする演出の芸術」と表現している。 野や外がいで茶を点てることを「野の点だて」という。 ※ 茶室 茶会が行われる部屋のこと。お茶を味わいながら、主人とお客が心を通わせ、会話を楽しむ場所。 茶席では、政治と色恋の話は避けるのがルールだ。 茶室は庭に囲まれ、庭へ一歩踏み入れた時から、人は俗世界と離れて、身も心も清め、別の精神世界へ入る。茶室に至る「露地」を進むと「つくばい」という手ちょう水ず鉢ばち(水を入れておく鉢)がある。客はそこで手を洗い、口をすすいで、「にじり口」(茶室独特の小さな出入り口)から茶室に入る。 茶室には、「床とこの間ま」と、「床ゆかを」切り抜いた炉ろがある。茶室風の建物たてものを「数す寄き屋や造づくり」という。

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