日本という国
137/235

133「芸能」二節=[一・「歌か舞ぶ伎き」] 400年以上の歴史を持つ「歌舞伎」は、日本が世界に誇る伝統芸能だ。 常に技を磨き、ユニークな発想や演出を生み出し、庶民とともに生き続けてきた。 2007年12月、十二代目・市いち川かわ団だん十じゅう郎ろうがフランス・パリのオペラ座で初めて「歌舞伎」を上演した。2008年11月には、ユネスコ(国連社会科学文化機関)の「無形文化遺産」に選ばれた。 近年、三代目・市いち川かわ猿えん之の助すけや七代目・尾お上のえ菊きく五ご郎ろうらが、「スーパー歌舞伎」という「宙乗り(劇場の天井から吊つり下さげられて、客席の上を移動しながら演技する)」をしたり、水や火を使ったり、「世界の歌姫」と言われるレディー・ガガの衣装を真似まねるなど、新しい試みが登場している。 歴史「歌舞伎」の創始者は、現在の島しま根ね県けん出いず雲も地方の「お国くに(阿お国くに)」という女性。 出雲大社の巫み女こ(神に仕つかえて祈き祷とうなどを行う女性)だった「お国」は、慶長年間(1596年~1615年)に、出雲大社の修復のための勧かん進じんと呼ばれる寄き付ふ興こう行ぎょうで、女性中心の歌舞団を組織した。 その後、京都の四し条じょう河が原わらの興行が評判になったのが「歌舞伎」の始まり。 「お国」の歌舞団の芸は、派手な衣装を着けた踊りや、能のう・狂きょう言げんを分かりやすくした滑こっ稽けいな物もの真ま似ね芸げいなど、民衆の好みに応えたものだった。 長い戦乱の時期を脱して平和がもたらされ、民衆は娯楽を欲していた。 普通の人と異なった奇異な格好をし、女が男に扮したり、きらびやかな服装で人目を引いて人気を集めた。 「歌舞伎」は初め、女性だけで演じられていたが、「風紀を乱す」などの理由で禁止され、間もなく男性だけが演じるようになり、江戸文化の華として完成した。

元のページ 

page 137

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です