日本という国
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135女形の存在は、中国の京劇にも見られるが、「歌舞伎」の最大の特色だ。主な男性の役を「立たち役やく」という。 ◇ 柝き 「歌舞伎」の舞台は、「柝」と呼ぶ二本の樫の木(拍ひょう子し木ぎ)を打ち合わせる音で進められる。「チョンチョン」という高い音がする。 ◇ 廻まわり舞台 舞台を丸く切り抜いて、床下から操作して、独楽こまのように回転させる装置。「廻り舞台」は、18世紀の中頃に、世界で最初に「歌舞伎」で使われた。 ◇ せり(迫せり) 舞台の床の一部を切り抜いて穴を開けた構造を「せり」という。登場人物や舞台装置を「せり上げたり、下げたり」する。 舞台の床下を「奈な落らく」という。「地獄、物事のどん底」を意味する言葉としても使われる。 ◇ 隈取くまどり 「歌舞伎」の特殊メーク。 顔に紅、藍、墨で筋を描いて、「役」の性格を誇張する化粧方法だ。役者の顔の骨格に沿って線を引き、指でぼかしながら、勢いのある表情に仕上げる。 ◇ 花道はなみち 「歌舞伎」特有の舞台構造に「花道」がある。 客席の中を、舞台に直角に伸びる細い通路。舞台の延長でもあり、舞台とは別の時間、空間の場にもなる。「花道」の出入り口には、劇場の紋を染め抜いた「揚あげ幕まく」があり、「チャリン」という音に合わせて登場人物が出入する。手を振り、高く足踏み誇張しながら歩しく「六ろっ方ぽう」という芸は力強さと荒々しさを印象付ける。主に、「荒事あらごと」の役が「花道」を引込む時に演じる。 「花道」という言葉は「歌舞伎」以外でも使われる。「人が華々しい状態で辞める」ことを「引退の花道を飾る」といい、大相撲の力士が「土俵」に向う道、帰る道も「花道」という。 ◇ 見得みえ 舞台の雰囲気や登場人物の心情が高まった時や、役者の演技を誇張したい時に、格好のいい形に決めて静止する演技を「見得」という。 クローズアップの手法。ストップ・モーション。「自分の力を誇示するような態度をとる」ことを「見得を切る」、「外見を飾ったり、他人を意識して実際以上によく見せようとする」ことを「見得(見栄)を張る」という。

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