日本という国
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136 ◇ 黒くろ衣ご 「歌舞伎」では、「黒は見えないもの」という約束事がある。小こ道具などの受け渡し、衣装の肌脱ぎなど、役者の介添えをする。舞台の上で使わなくなった道具を片付ける時に舞台に出てくる。雪の場面は白い衣装の「雪ゆき衣ご」が出てくる。背景の黒い幕は夜の闇を表す。 「彼は、いつも黒衣(黒子)に徹して、決して表に出ない」など、一般にも使われる。 ======================================= [二・「能のう」と「狂きょう言げん」] 「能」と「狂言」の歴史は「歌舞伎」より古い。 室町時代(14世紀~15世紀)に完成した。奈良時代に中国大陸から伝来した散楽さんがく(民間の舞楽)が平安時代に猿楽さるがくとなり、その猿楽や庶民芸能である田楽でんがくなどの系統の中で発展してきた。 「能」と「狂言」は、兄弟の関係にあり、明治時代にそれぞれが独立した。 「能」は、猿さる楽がくや田楽の歌舞、演劇の部分を取り入れ、文芸的なものを題材とする音楽・歌舞劇だ。「狂言」は、猿楽や田楽の「物真似」などの部分を受け継いで、滑稽な対話劇となった。「能」が面を使うのに対し、現実の世界を描くことが多い「狂言」は面を使用することは少ない。 「能」と「狂言」が一緒に演じられる場合もある。 「能」を「能楽のうがく」と呼ぶこともあり、「能」と「狂言」を総称して「能楽」ともいう。 「能楽」は「歌舞伎」とともに、2008年11月、ユネスコの世界無形文化遺産に選ばれた。 「能」は、男性の役者によって演じられてきたが、近年では女性も演じる。 夕闇が深まる野外で薪まきを焚たいた照明の中で演じられる「薪たきぎ能のう」が人気だ。 能

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