日本という国
15/235

011 揺れる「脱・原げん発ぱつ」(脱・原げん子し力りょく発電) なお、アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟国のうち、フィリッピンなど5カ国・地域が「TPP」の参加に関心を示している。 自由貿易の恩恵おんけいを受けて経済成長を果たした日本は、「貿易立国りっこく」として、他の国々とお互いに関税をなくしたり、人の行き来やお金の流れを自由にしたりする経済連携が不可欠だ。そのために、様々な協定の交渉が続けられている。特定の国や地域の間で関税を削減・撤廃したり、人の行き来を円滑えんかつにしたりする「EPA」(経済連携協定)、2国間以上で自由貿易を目指す「FTA」(自由貿易協定)、「RCEP」(東アジア地域包ほう括かつ的てき経済連携協定)があるが、なかでも、「TPP」が最大規模の貿易協定だ。 「TPP」のうち、「日本の関税」に関する「撤廃」の内容は、次の通り。 1・10年以内に、全9,018品目ひんもくのうち95%にあたる8,575品目の輸入関税がなくなる。 2・農産物のうさんぶつは、全2,328品目のうち、81%の1,885品目の関税が撤廃される。 3・日本が「重要5項目」(米こめ、麦むぎ、牛ぎゅう肉にく・豚ぶた肉にく、乳にゅう製せい品ひん、砂さ糖とう)としていた568品 目の約3割にあたる174品目の関税が撤廃される。その他については、「無関税・ 低関税の輸入枠わく」の設定や「関税の引き下げ」が行われる。 例えば、「米」は関税を維持しつつ、米国と豪州向けに、「無関税輸入枠」(年約7万8,400㌧)を設もうけることになった。 「牛肉」は、38.5%の関税を段階的に引き下げて、16年目以降9%にする。 「豚肉」は、10年目に、高価格帯の関税(4.3%)を撤廃し、低・中価格帯の大半の関税(1㌔最大482円)は50円に。 一方、日本からの工業製品の輸出については、参加11カ国のうち、豪州、メキシコを除く9カ国が関税をすべて撤廃する。11カ国全体では、品目数の86.9%、貿易額で76.6%の関税がすぐに撤廃され、「TPP」発効後30年目までに品目数、貿易額ともに99.9%の関税がなくなる。 最大の市場である米国向けでは、「乗用車」の関税(2.5%)が25年目までに段階的に撤廃される。「トラック」は25%の関税が30年目になくなる。 「TPP」の発効は、食料品の値下げにつながり、消費者には歓迎される。 産業界でも、「関税撤廃や税関手続きの簡素化で輸出産業が潤うるおい、中小企業は貿易がし易やすくなる。雇用も増え、産業の空くう洞どう化かを防ぐことができる」と期待されている。 一方、第一次産業の生産者は影響を受ける可能性が高く、競争力が弱いため、関税撤廃で打撃を受ける恐れのある農業、畜ちく産さん業ぎょう、水産業などは、生産性の向上が急務だ。 東京電力・福島第一原子力発電所の原げん子し炉ろ損そん傷しょう・爆発ばくはつ事故じこで、「原発(原子力発電)」に対する国民の不信感が一気に高まった。「原発」にまったく頼らない「脱・原発」を含めて、日本の「原発」政策は大きな見直しを迫られた。

元のページ 

page 15

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です