日本という国
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146[四・「空から手て」] 素手すでで戦う「空手」もほかの武道と同じく、高い精神性を持ち、礼節や長幼の序などの厳しい規範がある。勝つことを究極の目的とするのではなく、厳しい練磨の中から有形無形の試練を乗り越えて、自己完成を図ることを目指している。 「空手」は、突き、打ち、蹴り、受け、を基本とした武術だ。 身体のすべてを武器として鍛え、どんな体勢からも、どんな方向からも、変化に応じて手足を自由に使って、相手の攻撃に対処する。人間に備わっている総合能力の勝負でもある。 自己の能力の開拓が「空手道」の修練の目的だ。 「空手」では、初段以上が「黒帯」。それ以下は、茶色や緑色などの帯を使う。 歴れき史し「空手」は沖おき縄なわ県けんの護身術から発展した。 沖縄には、古くから「手」と呼ばれる護身術があり、中国武術の影響を受け、「唐から手て」とも呼ばれた。民衆は村や家族を守り、自らの護身のために「唐手」を修練した。素手で武器にも対抗できる一いち撃げき必ひっ殺さつの武術として完成した。 「唐手」を初めて世の中に公表したのが沖縄の教育者だった船ふな越こし義ぎ珍ちん(1870年~1957年)だ。1922年(大正11年)春、船越が上京して「唐手」を公開すると、その威力が人々を驚嘆させた。その後、沖縄から宮みや城ぎ長ちょう順じゅんなどの名めい手しゅが上京し、全国に普及した。 1935年(昭和10年)、船越義珍は自らが傾倒していた禅の教えから「唐手」の名前を「空手」に改めた。 1956年(昭和31年)に競技としてのルールが出来上がった。 1957年(昭和32年)には、第一回・全日本大学空手道選手権大会が開催され、1981年(昭和56年)に「空手」は国民体育大会(国体)の正式種目となった。 1993年に世界空手道連盟(WKF)が組織され、2011年現在、183の国・地域が加盟している。多くの国々に空手道場がある。 1970年(昭和45年)に東京・日本武道館で第一回が開かれた世界空手道選手権大会は、二年に一回、各国で開催されている。 「空手」は2016年8月、2020年に開催される東京オリンピックの競きょう技ぎに決定した。

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