日本という国
153/235

149中国の難しい経典を日本語の発音で訓読みしていた時、覚えやすいように、中国語の横に「カタカナ」のようなメモを付けた。返り点、送りがな、振りがな(カタカナ)などだ。10世紀になって、その一つだった「カタカナ」が独立どくりつした文字として使われ始めた。 さらに、11世紀になると、僧侶たちが文章や和歌を書くのに、便利な「カタカナ」だけを使うようになった。 「カタカナ」は文字として一人歩きを始めた。 そして、「漢字」や「ひらがな」より簡単な文字として、人々に愛され、広く普及していった。 今の「カタカナ」の字体が固かたまったのは1900年頃だ。 小学校に入学した時、まず「カタカナ」を習い、「ひらがな」が「カタカナ」より難しく程度が高い文字として扱われた時代もあった。 1945年(昭和20年)に、文字の使い方が大きく変わった。 普通の文章では「漢字」と「ひらがな」を使い、「カタカナ」は特別な時に使う文字になった。外来語、外国語、動物や植物の名前、擬ぎ声せい語、擬ぎ態たい語などを表す時に、「カタカナ」が使われることが多い。 《ローマ字》 「ローマ字」も、「ひらがな」や「カタカナ」のように発音だけの字だ。 ラテン文字に由来し、一般に、英語のアルファベット26文字を指す。 パソコンのキーボードで入力する時など、「ローマ字」が使われる機会が多くなった。 室町むろまち時代(1338年~1573年)の終わり頃、ポルトガルの宣せん教きょう師したちが、ポルトガル語を基本にした「ローマ字」を日本に伝えた。その後、幕府によってキリスト教の布教が禁止され、オランダ人だけが貿易のために日本に入国を許され、オランダ人に分かりやすい「ローマ字」が使われた。 欧米諸国との国交が開かれて、別の表し方が生まれ、アメリカ人宣教師のヘボンが1867年に表した「ヘボン式」ローマ字が基本になった。そして、日本の学者が「日本式」の「ローマ字」を考案した。 ヘボン式は「し→shi、ち→chi、つ→tsu、じ→ji」など、英語を話す人の発音に合わせた。 これに対して、「日本式」は、例えば、「さ行」は「さ→sa、し→si、す→su、せ→se、そ→so」と、「s」のあとに「aiueo」を付けた。 ヘボン式と日本式の良いところを取り入れたのが「訓くん令れい式」だ。 1954年(昭和29年)に国語審議会が「訓令式を中心としたローマ字のつづり方」を建議し、現在、学校教育では小学3年生から学んでいる。 ヘボン式や日本式も一部で使われているため、混乱もある。 例えば、長ちょう音おんを示すのに、「O」、「上に印を付けるō」、「OO」の三通りある。「TOKYO(東京)」のように、神戸を「KOBE」と書くと、「こべ」と発音する外国人もいる。

元のページ 

page 153

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です