日本という国
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150「話し言葉」と「書き言葉」二節= 日本語の歴史を振り返ると、人々が「生活の中で使う言葉」と、「文字で書き表す言葉」の間に大きな違いがある。 「話し言葉(しゃべり言葉)」を文章にしたのが「口こう語ご文」で、「書き言葉」を書いた文章を「文ぶん語ご文」という。 明治時代に日本の社会は一大変化を遂げ、国を一つにまとめるため、義務教育が始まった。しかし、人々が毎日の生活で使う会話の言葉と、本などに書かれている文章は同じではなかった。そこで、二ふた葉ば亭てい四し迷めい、山やま田だ美び妙みょう、尾お崎ざき紅こう葉ようなどの小説家が、「口語文」を小説の中に使って書き、「文章の言葉」と「話す言葉」を近づける「言文一致運動」を続けた。 現代の言語生活では、「話し言葉」と「書き言葉」の壁はかなり薄くなっている。 ◇ 話し言葉 ◇ 相手が文字を見ないで耳から聞いて内容を理解するのが「話し言葉」だ。 「コミュニケーション」の時代には、人の話を聞いて理解することが極めて重要だ。 そのために、「話し言葉」に大切な条件がある。 例えば、学生が「あの先生の講義はよく分からなかった」と感じる場合、次のような理由が考えられる。 ① 声がはっきりしないため、聞き取りにくい。 ② 「テーマ」の起き承しょう転てん結けつがはっきりしない。 ③ 言葉の意味が難しくて、理解できない。 ④ 書いたものをそのまま読よんでいる、など。 優れた「話し言葉」は、まず、聞き手に心地良い響きと人間的な温かみを感じさせることが大切だ。「話し手」は、聞いている人の年齢や立場や状況などを考えて、話の内容、言葉、構成を選んで決めなければならない。話の中にユーモアを上手に取り入れたら、「聞き手」の気持ちを和ませることができる。 【漢字の多様な読み方】 海外の日本語学習者の多くは、「漢字」の読み方が何通りもあることで苦労する。 例えば、「日」という「漢字」は、「その日ひ、3日みっか、土ど曜よう日び、一日ついたち、一いち日にち中じゅう、昨日きのう、昨日さくじつ、日に本ほん」など。読み方に特にルールがあるわけでないので、厄やっ介かいだ。 【「ツッコミ語」と「ら抜き言葉」】 文化庁が2011年に行った国語世論調査によると、近年、「ツッコミ語」と「ら抜き言葉」が広く使つかわれるようになった。 ①寒っ(寒い)、すごっ(すごい)、短っ(短い)、早っ(早い)、長っ(長い)など、形容詞の語幹を使った言い方が「ツッコミ語」だ。

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