日本という国
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152「敬語」三節= 【敬語の役割】 「敬語」は、日本語の特徴的な性格を持っている。 日本人は言葉を用いる時、相手や周囲の人、また、その場の状況に合わせて、「敬うやまい」、「へりくだり」、「改まった気持ち」を表現する。 「聞き手」や「話題とする相手」をどう待遇するか。つまり、「外の人間」として他人扱いして「敬語」を積極的に使うか、それとも「内々うちうちの人間」として「敬語」抜きの言葉にするか、を決める。 「敬語」は「相手や周囲の人と自分との関係」を表現するもので、コミュニケーションを円滑に行い、確かな人間関係を築いていく上で不可欠だ。 日本語では、「外の人間」か「内の人間」か、によって、表現や語ご彙いを決める。 他人をどう待遇するか。つまり、相手を「上下」と「親しん疎そ」の関係で、どちらに位置付けるかという問題だ。 日本人の人間関係は、遠慮・敬遠からだんだん親密な間あいだ柄がらへ進むのが自然だ。 外国人が日本人を「取っ付きにくい」、「付き合いにくい」、「日本人は何を考えているのか分からない」と感じるのも、「敬語」を使う側の心理状況と関係がある。 「敬語」は従来、 ①尊敬語(「いらっしゃる」などの敬う言葉)、 ②謙譲語(「お伺いする」などの、へり下くだる言葉)、 ③丁寧語(「~です。~ます。~でございます」などの言葉)の三つに分類されていた。 これを、文部科学省の文化審議会が2007年2月、新しい「敬語の指針」をまとめ、以下の五種類に分けた。 (1)尊敬語 「いらっしゃる・おっしゃる」 (2)謙譲語Ⅰ 「伺うかがう・申し上げる」 (3)謙譲語Ⅱ(丁重語)「参まいる・申す」 (4)丁寧語 「です・ます」 (5)美化びか語 「お酒・お料理」 五種類に分けることで、「敬語」をより的確に理解し、説明できるようになった。 例えば、「行く」という意味の「敬語」である「伺う」と「参る」は、これまで、「謙譲語」だったが、新しい分類では、両者の「性質の違い」に基づいて、「伺う」を「謙譲語Ⅰ」、「参る」を「謙譲語Ⅱ」に分けた。

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