日本という国
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154 《「お」と「御ご・おん・お」》 「お」あるいは「御」を付けて「敬語」にする場合の「お」と「御」の使い分けは、 「お+和語」、「御+漢語」が原則だ。 ・「お名前」。「お忙しい」。(尊敬語) ・「お手紙」(立てるべき人からの手紙の場合は尊敬語、立てるべき人への手紙の場合は謙譲語Ⅰ) ・「お酒」(美化語) ・「御ご住所」。「御ご立派」。(尊敬語) ・「御ご説明」(立てるべき人からの説明の場合は尊敬語、 立てるべき人への説明の場合は謙譲語Ⅰ) ・「御ご祝儀」(美化語) (注)「御ご」は、「堅苦しい印象」があるため、「ご」と書く場合もある。 「敬語」が難しいのは、「目上・目下」という人間関係のほかに、「内うちの人」か「外そとの人」か、「親しい人」か「よく知らない人」かによって、言葉の遣つかい方かたが違ってくることだ。 例えば、ある会社の中で自分の上司に話す時、社員はそれぞれの立場に従って「尊敬語」を使う。しかし、別の会社の人から「社長さんはいらっしゃいますか」という「尊敬語」で電話がかかってきた時、「はい、いらっしゃいます」という「尊敬語」で返事をしてはいけない。「はい、おります。少しお待ちください」と言わなければならない。 家族の場合も同じだ。子供が両親に「尊敬語」や「丁寧語」を使っても、他人、例えば、先生には「父が申しました」という「謙譲語Ⅱ」を使わなければならない。決して「父がおっしゃいました」という「尊敬語」を使ってはいけない。 若者を中心に、日本人の「敬語」の使い方が乱れている、と指摘される。 しかし、「敬語」は、日本の大切な文化として受け継がれてきたもので、複雑な社会生活において和やかな人間関係を構築し、維持・発展させていく上で必要なものだ。コミュニケーションを円滑にする「敬語」の機能はますます重要になってくる。 「敬語」は日本人の言語生活の中で大きな役割を果たしている。 日本人の精神文化の特質の一つである「謙譲の美び徳とく」を象徴しているのが「敬語」だ。

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