日本という国
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158「文学」に七章「古典」一節=ななしょう 「源氏物語」は、今から千年以上も前に女流作家によって書かれた「54帖じょう(巻)の長編恋愛小説」だ。 恋の心理と人生観、そして自然の描写に優れた古典文学の最高傑作。 後世の文学に大きな影響を与えた。多くの伝統芸能の題材にもなり、映画、演劇、アニメ、漫画など広範な芸術、芸能分野で取り上げられている。 「源氏物語」は世界各国の人々にも愛読されており、32の言語に訳されている。 2008年11月には京都市で「源氏物語国際フォーラムⅡ」が開かれ、各国の翻訳者が参加、「源氏物語」について、「人間が書いたとは信じられない芸術的奇跡」、「時間を超えて生き続け、未来にゆだねられる作品」など、高く評価された。 「源氏物語」は平安時代の中期、一条いちじょう天てん皇のう(在位896年~1101年)の中ちゅう宮ぐう(皇后こうごう)彰しょう子しに女にょう房ぼう(女性の召使)として宮廷に仕えた「紫むらさき式しき部ぶ」によって書かれた。 平安時代の前期・中期(10、11世紀)の宮廷生活と世相を描写しながら、主人公「光ひかる源げん氏じ」の、多くの女性との奔ほん放ぽうな恋愛を中心にした栄華と苦悩の生涯を描いている。 「人間の愛と一生」を描いた「世界で最も古い恋愛小説」でもある。 「紫式部」は、滋し賀が県けんの琵び琶わ湖このほとり、石いし山寺やまでらで「源氏物語」の想を練った。 寛かん弘こう3年(1006年)~寛弘8年(1011年)の間、長期にわたり執筆した。 「源氏物語」が最初に世に出てから1,000年の区切りの年の2008年(平成20年)、各地で「源氏物語」千年紀が催された。 「紫式部」が書いた「源氏物語」の自筆本は現存しない。 筆と墨で書き写された「写しゃ本ほん」がいくつかある。 現在、読まれている本文は「大島本おおしまぼん」(室町時代)が基になっている。 2008年7月には、奈良県内の大沢家が所蔵していた鎌倉時代中期のものとみられる全54帖の写本・「大沢本」が見つかった。 平安時代の代表的絵え巻まき物ものに、「源氏物語」の興味深い場面の絵を加えた「源氏物語絵巻」がある。 [一・「源げん氏じ物もの語がたり」]

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