日本という国
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160第二部第三部~「光源氏」の39歳から52歳まで。「若わか菜な上うえ」~「幻まぼろし」の8巻かん ~ 六条院に安定した世界を作っていた「光源氏」のもとに、兄に当たる「朱す雀ざく院いん」の娘「女三おんなさんの宮みや」が降こう嫁か(皇族の娘が臣しん下かに嫁とつぐこと)した。 しかし、「女三の宮」は「柏かしわ木ぎ」という若者と密通事件を起こし、「薫かおる」が生まれる。 「光源氏」と「女三の宮」の結婚に苦しむ「紫むらさきの上うえ」(後に「光源氏」の妻)や、「柏木」の事件を知った「光源氏」の苦悩、また、「柏木」が煩悶の末、死を遂げるなど、「第二部」は、登場人物の内面の葛藤かっとうを鋭く描いている。 「第一部」は「光源氏」の栄華を描く「明めい」の世界であり、「第二部」は成功の奥にひそむ「暗あん」の世界だ。 「光源氏」は、「柏木」の死後、その子「薫」を自分の子として可愛がるが、「紫の上」が亡くなると出家を決意し、「光源氏」自身の物語は終わる。 ~「光源氏」の没後の世界。「匂におうの宮みや」~「夢ゆめの浮橋うきはし」の13巻 ~ 「第三部」の中心は、宇治うじ十帖じゅうじょうと呼ばれ、「薫」と、「光源氏」の孫に当たる「匂宮」の二人の青年貴公子と、都から離れた宇治に住む姉妹との恋物語が展開する。 「薫」は、姉妹の姉「大おおい君きみ」との結婚を望むが、「大君」は結婚を承諾しないまま死んでしまう。 「大君」を恋い慕っていた「薫」は、既に「匂宮」と結婚した妹「中なかの君きみ」に心を寄せる。 「中の君」は「薫」を避け、姉妹の腹違いの妹で、「大君」によく似た「浮うき舟ふね」を「薫」に紹介する。 ところが、「浮舟」は、「薫」と「匂宮」の二人と恋愛関係に陥り、悩んで入じゅ水すい自殺しようとしたところを助けられ、やがて出家する。 「第三部」では、登場する人々の長い会話や、心中の思惟(心の中で深く考えていること)によって、人物の心理を描き出し、行動を必然的なものにしている。 登場人物の複雑で、繊細な心の動きが躍動的に展開されている。

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