日本という国
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169 [四・「百ひゃく人にん一いっ首しゅ」] 「百人一首」は、100人の歌人の和歌(短歌)を集めたもの。 すべてが流りゅう麗れいで、人の心を魅了する。日本文学の古典として高く評価されている。 『歌かるた』としても親しまれている。 鎌倉時代の歌人「藤ふじ原わらの定てい家か」(日記「明めい月げつ記き」の作者)が1235年(文ぶん暦りゃく2年)に、天てん智ぢ天皇から順じゅん徳とく院いんまでの約570年の間に、高貴な人、歌人など100人(8人の天皇、15人の僧侶、21人の女性など) が詠よんだ和歌から、時代順に、一人・一首、計100首選んだもの。 「百人一首」は「小お倉ぐら百人一首」のこと。歌を色紙に書き、京都・嵯峨にあった小倉山山荘の障子(襖ふすま)に貼ったことから「小倉」の名前が付いた。 「小倉百人一首」はすべて、天皇の命令で選ばれた「勅ちょく撰せん和歌集」から集められている。内訳は、「古今和歌集」が24首、次いで、「後ご拾しゅう遺い和歌集」14首、「新しん古こ今きん和歌集」14首、「千載せんざい和歌集」14首、「拾しゅう遺い和歌集」11首など。 内容は、恋の歌が43首で最も多く、次は四季の歌が32首。 《「百人一首」の12首(時代順)と現代語訳》☆ 田子たごの浦うらに うちいでて見れば 白妙しろたえの 富士ふじの高たか嶺ねに 雪はふりつつ (山やま部べの赤あか人ひと) 【田子の浦に出て眺めると真っ白な富士山の高い嶺に今 雪が降りしきっている】 (田子の浦=静岡県富士市南部の海岸) ☆ 奥山に 紅葉もみじ踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき (猿さる丸まる太だ夫ゆう) 【奥深い山の中で 敷き詰めたように散っている紅葉を踏み分けて、鳴いている鹿の声を聞く時こそ 秋の悲しさがひとしお身にしみて感じられる】 ☆ 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身み世よにふる ながめせし間まに (小おの野の小こ町まち)

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