日本という国
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184 日本人は、盃の中に映る月を見て感動するように、あらゆる場面で、小さなものに心をひかれる。そして、自然や人間の様々な心情を「5・7・5」という「17音の小さな世界」に歌い込む。 ◇ 五・七・五のリズム 日本人は偶数ではなく、奇数を好む。 スポーツなどの応援は「3・3・7」拍子と、短く「音」を切ることによって調子を高めていく。子供の成長を祈願する「七・五・三」の祝い、結婚式の神事で行なわれる「三さん・三さん・九く度ど」(三つの杯で、三度ずつ合計九回、杯の酒を口につける)も同じ。 「俳句」も、上かみの「5」と中なかの「7」、さらに、中の「7」と下しもの「5」の音律がうまく響き合った時に、森羅万象の美的世界が深まる。 「俳句」を作る心構えについて、「芭蕉」は「言葉は控えめに、余分な言葉はなるべく切り捨てるように」と書いている。室町時代の「能」の大家「世阿弥ぜあみ」が「秘すれば花なり」、「怒れるときは足音を盗むべし」と表現したのも同じ趣旨だ。

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