日本という国
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196一つ、二つ、三つ、四つ、五つ。 お地蔵さんは六つですから、笠が一つ足たりません。 「弱ったなぁ。どうしたものか」とおじいさんは考え込みました。 そして、自分がかぶっている古い笠を取って、一つ残ったお地蔵さんの頭にかぶせてあげました。 「たきぎ」が一つも売れないため、手ぶらで帰ってきたおじいさんは、その日のことをみんなおばあさんに話しました。 「そりゃ、良かったのう。お地蔵さんも、あったかいと言うて、喜んでいなさるよ」 おばあさんは、おじいさんのしたことを、ほめました。 そして、二人は、食べるものもないので、その晩は早く寝てしまいました。 雪がしんしんと降り積もって、あたりが静まり返った夜や半はん、遠くから何やら歌のような掛け声が聞こえてきました。 「よいやさの、えいさ」 「どっこいしょ、それ、どっこいしょ」 何やら重たい物を運はこんでいるようです。 じっと聞いていると、掛け声はだんだん近づいてきて、家の前で止まりました。 「笠をかぶせてくれたおじいさんの家は、ここかねぁ」 という声がしたかと思うと、ドスンというものすごい物音ものおとがしました。 「いったい、夜中に何の騒ぎだろう」 と、おじいさんとおばあさんは、そっと起き出して、戸を開けて外をのぞいてみました。 すると、戸口に、大きな袋が置いてありました。 そして、吹雪ふぶきの中を、六つのお地蔵さんの姿がだんだん遠く、小さくなっていくのが見えました。 二人が大きな袋を開けてみると、中には、大おお判ばん、小こ判ばん(注)がいっぱい入っていました。 《注・たきぎ=薪まき。そのまま、燃料として使える木の枝など》 大判、小判=室町時代から末期から江戸時代末期に造られた金貨・銀貨)

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