日本という国
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202「信仰心」と「宗教」五節=しんこうしんしゅうきょう 日本人の宗教観の特徴は、「同時に、いくつもの信仰の対象を合わせ持つ」ことだ。 こどもが生まれたら「神じん社じゃへお宮みや参まいり」をし、 「神社や寺に初はつ詣もうでや受験・就職のお願い」をし、 「キリスト教の教会か神社で結婚式」を挙げ、 「葬式は寺で」、というのが日本人の典型的な一生だ。 ◇「現げん世せ中心」で楽天らくてん的 ◇ 「宇宙の万ばん物ぶつに宿やどる霊れい魂こんを崇すう拝はいする」というアニミズムが宗教の基本だ。 日本人の祖先は厳しいが豊かな自然に親しみ、恵みを感じながら暮らしてきた。 日本の「神道」は多た神しん教きょうの信仰であり、「現世を謳おう歌かして、生きる」という現世中心的な意識が日本人の「信仰心」の基盤となっている。 日本人のものの考え方の特徴は、実際に目に見えている世界を大事にし、与えられた環境や条件を肯定すること。現実の世界とは別の絶対的な神の存在を認めなかった。日本古来の信仰は自然発生的なもので、人々の日常の生活習慣と深く関わり、体系的な教義もない「民間信仰」として定着した。 現実の世界に意義を認める日本人の精神文化は、自然を愛することに由来している。 自然に脅威を感じながらも、「人間と対立するものではなく、恵み深く、人と一体になるもの」というのが「日本人の自然観」だ。 日本人は、日常生活の中で人間の欲望や感情を無理に抑制し、それに打ち勝とうとしなかった。インドの原始仏教や中国の「仏教」で厳守された戒律、例えば「不ふ飲いん酒しゅ」などは、日本の「仏教」では必ずしも守られない。 また、除じょ夜やの鐘や節分せつぶんなど、中国の風習が日本に伝わった後、日本人の生活と密着して独特の行事に変わったものも多い ◇ 日本の「宗教」◇ 日本人は神道的なものを根幹としながら、仏教的なものを積極的に取り入れて融合ゆうごうを図り、キリスト教も受け入れた。 緩ゆるやかな信仰心が日本人の精神文化を形成し、奈良時代には、固有の「神の信仰」と「仏教信仰」を折せっ衷ちゅうして調和させる「神しん仏ぶつ習しゅう合ごう」が始まった。 何かを実現したいと願う時、日本人は「神様、仏様、・・様」と、様々な人や物にすがって、“苦しい時の神かみ頼だのみ”をする。 2014年12月時点の文化庁の調査では、「宗教」の信者しんじゃ数すうで最も多いのは、「神道しんとうの9,216万人」。次いで、「仏ぶっ教きょう・8,712万人」、「キリスト教・195万人」、その他の諸しょ教きょう・897万人(天てん理り教、PL教など)。 信者数を合計すると、1億9,022万人になる。

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