日本という国
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024「回復基調」と今後 日本の製造業が有ゆう数すうの競争力を維持したものの、金融、流通、農業などの分野では国際競争に打ち勝つ方策が求められている。そこで、政府は、経済活性化のため種々の規き制せい緩かん和わや、経済・財政・金融の構造改革に取り組み、経済の民間主導を進めている。 「バブル」崩壊後の「日本経済」は、2002年に底を打ち、「回復基調」に入ったが、2008年9月の 「リーマン・ショック」の影響をまともに受けて急速に悪化した。倒産、リストラによる人員整理、工場閉鎖が相次ぎ、特に、「非正規労働者」の失業者が急増した。「東日本大震災」と欧州の信用不安による「円高えんだか」から産業不振と雇用不安が一段と高まった。 その後、「日本経済」は2012年暮から立ち直りを見せた。「アベノミクス」と呼ばれる安あ倍べ晋しん三ぞう内閣の経済政策(金融緩和、財政出動、成長戦略)などによって「経済再生」に向かいつつある。 「株高」と「円安」で大企業の業績は上昇し、多くの企業がベースアップ(給与の基本給部分のアップ)を実施した。しかし、2015年の厚生労働省の勤労統計によると、実質賃金指数が4年連続でマイナスになるなど、企業の好業績が実質的な賃上げにつながる「経済の好こう循じゅん環かん」はまだ広がっていない。 ところが、2016年6月、「英国」の「EU(欧州連合・加盟28カ国)」からの離脱が決まると、金融市場と世界経済への悪影響を及ぼす恐れから、一時「1㌦・99円台」の円高と株安が進むなど、「日本経済」は常つねに、世界の様々な状況に左右される。 一方で、財務省が発表した2015年の国際収支によると、海外との総合的な取引状況(貿易や投資による日本と海外のお金の出入り)を示す「経常収支」は16兆6,413億円の黒字で、黒字幅は前年の6.3倍。5年ぶりの高水準だった。「原げん油ゆ安やす」による貿易赤字の縮小に加えて、訪日外国人による日本での消費が増え(爆ばく買がい)て旅行収支が53年ぶりの黒字だったことなどが主な要因。 いくつかの難題もある。 景気対策としての公共事業などへの「財政出動」は、国の財政を悪化させて、経済成長の足かせになる側面そくめんもある。 人口減少と「少子高齢化」が進めば、労働人口と消費人口の減少が経済の衰すい退たいを招きかねない。 また、派遣・契約を含めた「非正規労働者」が34歳以下の若者の約3割に達するなど、雇用の問題を抱えている。「非正規労働者」の雇用安定や待遇改善が「日本経済」の新たな課題でもある。 一方、「高年齢者雇用安定法」は、労働力確保のため、65歳まで働けるように、①定年の廃止、②定年の引き上げ、③再雇用制度、のいずれかの導入を企業に義務づけている。企業には、雇用の拡大や「正規労働者」と「非正規労働者」の格差是正なども課せられている。 「日本経済」の真の活性化には、雇用そのものの増大と、雇用や生活に直結する年金・

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