日本という国
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032「教育」の変遷と今四節=へんせん 「学校教育」の歩あゆみ 日本は早くから6歳以上の「義務教育制度」が確立し、国民の教育の普ふ及きゅうが日本経済の成長を支える大きな原げん動どう力りょくとなった。 しかし、初しょ等とう中ちゅう等とう教育(小、中、高校までの教育)の現場では、「いじめ」、「不ふ登とう校こう(登校拒否)」、「高校中ちゅう途と退たい学がく」、「校内暴力」など、問題も少なくない。 学校教育は、戦後の「詰つめ込こみ教育」から、1980年度に「ゆとり教育(「ゆとりある学校をめざした教育」)へ変わった。しかし、「小・中・高校・大学」の各段階の学力低下が指摘され、2011年度から「脱・ゆとり教育(学習量を増加する教育)」が実施されている。 2020年度から2022年度に小中高校で順次始まる新しい学習指導要領では、小学校5、6年生の「英語」が「外国語活動」から「教科」に格かく上あげされ、年間の授業時数が70コマ(1コマは45分)に倍増され、他教科も含めた総授業時数は1,015コマに増える。 文もん部ぶ科か学がく省しょうは、ICT(情報通信技術)による教育が世界的に進んでいる状況を踏ふまえて、2020年度までに児童・生徒に情報端末たんまつを「1人1台」導入する。 現在、学校にある教育用のパソコンは「約6人に1台」だ。パソコンが普及するにつれて、地域間や家庭環境による格差が問題になっている。 一方、少しょう子し化かで「競争の時代」に入った大学は、グローバル化に適応した人材の育成、教育の国際化、入試制度の改善など多くの課題に直面している。 内閣府の調査によると、中学校から大学までの卒業生で、「就学も就労も職業訓練もしない」、いわゆる「ニート」(NEET=Not in Employment, Education or Training)」の総数は、2015年時点で56万人に上っている。15歳から34歳の非労働力人口のうち、家か事じも通つう学がくもしていない「若じゃく年ねん無む業ぎょう者しゃ」の問題は、健康上の理由、就業条件の質・量のほか、若者の職業観や生き方など教育をめぐる問題でもある。 (「四節」の数字は、主に、文部科学省の学校基本調査などによる)。 ―――――――――――――――――――――― ※ 始まりは「藩校はんこう」 日本の教育制度には、国民の教育を重視する考えが一貫いっかんして流れていた。 18世紀末以降、多くの藩(江戸時代の大だい名みょうの領りょう地ち・組織)が子弟の教育のために「藩校」を設立した。朱子学を中心とする儒じゅ学がくや武ぶ術じゅつ、習しゅう字じを学び、後には洋学や国学こくがくも教えた。江戸後期には、「藩校」は約260を数かぞえた。 城じょう下か町まちから離れた土地でも民衆を教育する「郷校ごうこう」(村の学校)が造られた。 庶民の間で広く教育活動を行ったのが「寺てら子こ屋や」だ。村むら役やく人にん、神しん職しょく、僧そう侶りょや、裕福ゆうふくな町ちょう人にんが経営者となって、日常生活に役立つ「読み、書き、そろばん」の教育が行われた。江戸時代には、1万5千校以上の「寺子屋」が存在した。

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