国際交流研究所 メッセージ

~2016年3月下旬、中国の大学の2人の日本語教師からメールをもらった~
「日本語教材『新日本概況』30冊、ありがとうございます。長い間、中国の日本語教育のために全力を尽くし、本当にお疲れ様でした。これまで頂いた教材は、すべて在学生に渡し、学生には『この教材はただの本ではなく、日本人ご夫婦の心血であり、真心です』と伝えております。学生さんも一生の宝物として大事にしているでしょう」《李美花先生=延辺大学外国語学院・吉林省延吉市》

・「大森先生ご夫妻が作成された「日本語教材『新日本概況』」が50冊届きました。これからの授業にこの教科書を生かしていこうと思っています。実は、私も17年前、山西大学の学生時代に、ご夫妻の「大学用・日本語教材『日本(上、下)』(1987年~1988年。大連出版社刊)を四年間勉強しました。この教科書から日本文学、日本文化に関しての知識をいろいろ学びました。心から感謝いたします」《張添羽先生=山西大学商務学院・山西省太原市》

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中国人の留学生に出会ってから7カ月後、夫婦で中国の大学と日本語交流活動を始めたのは1989年3月だった。3カ月後、天安門事件が起きた。その頃、学生の間では、経済大国・日本への憧れが顕著だった。その後、「社会主義市場経済」に移行した中国は激変した。中国は、GDP(国内総生産)が日本を抜いて名目で世界2位になり富裕層が増えた。しかし、貧富の差などの「格差」が存在する国でもある。
日中両国はアジアと世界のために重要な国同士だ。しかし、両国の関係は『歴史』ゆえに、折に触れてギクシャクする。中国の人たちの「反日感情」はなお根深い。

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1998年に行った「「第六回・中国の大学生、院生『日本語作文コンクール』」で、
李錦成君(遼寧師範大学・大連市)が書いた作文の一節が忘れられない。
「もし日本語を勉強しなかったら、私は一生、日本を恨んで、日本を正しく理解できなかったかもしれない」
「理解不足」による〝日本嫌い〟の中国の若者を一人でも減らしたい!
と願って始めた「日本語の文字」にこだわった「28年間の“手作り・日中交流”」を通して「知ることが理解と友好の基盤になる」ことを改めて痛感した。

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大連工業大学日本語学科(遼寧省大連市)教授、劉愛君先生から送って頂いた短歌で本書を結びたい。劉愛君先生は、2000年の「第八回『日本語作文コンクール』」(国際交流研究所主催)で最優秀賞に選ばれた。

「中日の 絆を結ぶ ご夫妻の 四半世紀 光り輝く」

中国の大学(日本語科)との「日本語交流活動」は今年で“卒業”し、世界の日本語学習者に、「日本語で日本を理解してもらう教材」をネットで発信します。

2016年9月   大森和夫・大森弘子(国際交流研究所)