中国の大学から届いた学生と先生の声

第十三回・『日本語作文コンクール』(第一回「中国の大学院生『日本語作文・スピーチ・討論コンテスト』」として実施)
2006年 応募総数・384編
テーマ=「日本、あるいは日本人に言いたいこと」
スピーチのテーマ=「十年後の日中関係を予測してください」
「日本語作文」で50人に絞り、その上位20人が、北京市の北京日本学研究中心で行なわれた「スピーチ・討論」の最終審査に出場。
以下は、「スピーチ(4分間)」の抜粋。

日本の首相が南京大虐殺記念館へ

徐 蓓(北京大学大学院・北京市) <一等賞>

 十年後、私の夢の中で一つのテレビ報道を見ました。今から、夢の中のアナウンサーの真似をします。
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 今日は2016年10月21日です。ただいま『第十一回大学院生スピーチ・討論コンテストが北京外国語大学で行なわれています。会場にはもう千人以上が集まりました。なんと、中国の主席と日本の総理大臣もいらっしゃっています。
 先月29日、日本の首相が南京大虐殺紀念館を訪れました。心からのお詫びを聞いた中国の主席は「過去のことをもう忘れましょう」と言い、日本の首相は「いや過去のことは歴史ですから、忘れることはできません」と言いました。中国の政府と人民がそのことばを心から受け止め、平和を象徴するハトを青空に放ちました。さらに、中国政府が1972年以来、日中友好の使者である中国の家宝―パンダを再び日本に贈りました。
 政府関係でなく、民間交流も盛んに行なわれるようになりました。中国で大相撲大会、日本で京劇コンテストが行なわれています。本日、2006年からの『大学院生日本語スピーチ・討論コンテスト』の十一回目を迎えました。
 ただ今、会場から熱烈な拍手が聞こえてきました。
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 以上は、私が夢で見た報道の内容です。これはうそではありません。何だ、夢じゃん!と思われるかもしれませんが、マルティン・ルター・キングさんが夢を持ったからこそ、黒人解放運動が成功したのです。夢はもう動き出しました。夢の続きは、私たちの手の中にあります。皆さん、手をつないで、夢の続きを一緒に作りましょう。ファイト!

☆ 以下は、入賞者の「日本語作文」から

日本民族が好きになれない悩み

劉素桂(南京大学大学院・江蘇省南京市)

 私はもう八年間日本語を勉強している。私はだんだん日本の独特な文化に心を引かれて、すぐれた日本文学にも耽っている。日本人の留学生や会社員、日本人の先生にもいつも教わる。約束時間を守ることや、まじめな生活態度などは印象深い。しかし、私は日本が好きだとは言えない。
 いくら日本と日本人に親しみたくても、なかなか親しむことができない。中日の友好に役立つように頑張っても、中日関係がよくない時、無力感を味わう。両国の関係がなぜよくならないのか。今でも、中日戦争の歴史と現実の歴史認識を知っている私は日本民族が好きになれない。これが私の悩みだ。

「日本が好きだ」と言える日が来るように!

朱秀洪(重慶大学大学院・重慶市)

 日本語を専門とする中国人として、私の対日観は矛盾している。日本が中国を侵略した歴史を勉強し、お爺さんから日本軍人の残虐な行為を聞く度に、愛国心を持つ私は「日本が嫌いだ」と叫びます。しかし、日本語の勉強を始めて、日本の文化や歴史、習慣などに触れるにつれて、日本に対する私の考えや態度も変わってきた。心に植えついた日本に対する恨みは、日本のことを少しずつ知るにつれて、次第になくなっている。この矛盾した感情は、中日間の国家関係をそのまま映し出している。「日本が好きだ」と素直に、心から言える日が来るように、私たちも頑張ろう!

日本人の戦争に対する反省が不十分

周 迅(南開大学大学院・天津市)

 現在も中日関係はあまり良くない。靖国神社参拝の問題とか、歴史教科書の問題とか、中日交流を阻む大きな壁になっています。中国人の最も超えがたい心理上の壁は侵略戦争で心に残る大きな傷です。中華民族はとても寛容な民族です。日本人の戦争に対する反省がまだ不十分だということです。両国は文化的共通性があるために親近感を感じやすいですが、歴史問題が両国人民の関係に影を落としてい  ます。日本政府は歴史を直視し、中日友好交流を阻む大きな壁をなくしてほしい。